立秋から秋分へ「陰陽の転換点」を健やかに越える東洋医学の秋養生

9月も中旬に入り、すっかり秋めいてきましたね。東洋医学では、季節によって過ごし方を変えましょう、という養生法が存在します。

あと少しで二十四節気の「秋分」に入るので、今回はその話を書きました。参考にしてね( ¨̮ )

「立秋と秋分、どう違う?」

「昼と夜の長さが等しくなるのは、立秋だっけ?秋分だっけ?」と一瞬迷うことはありませんか?

(立秋、秋分、なんだっけ?って方もいるかもしれませんが・・・)

実は、自然界の「陽(熱・活動)」と「陰(寒・静寂)」がピッタリ拮抗し、そこから本格的に陰の季節へ切り替わるターニングポイントこそが「秋分の日」です。

立秋(8月7日頃)で静かに生まれた「陰の兆し」は、秋分(9月23日頃)を境界として「陽」を追い抜きます。

今回は、東洋医学の原典である『黄帝内経』『素問』『霊枢』『難経』の1次情報を紐解きながら、この季節のグラデーションに合わせた正しい養生法をお伝えします。

1. 1次情報が教える「秋の基本原則」

秋の3ヶ月は古典で「容平(ようへい)」と呼ばれ、万物が実りを迎え、収穫して蓄える時期とされています。

【原文】 「秋三月、此謂容平。天急一以高、地気一以明。早臥早起、与鶏倶興。使志安寧、以緩秋刑。収斂神気、使秋気平。無外其志、使肺気清。此秋気之応、養収之道也。」 (『素問』四気調神大論篇 第二)

  • 早臥早起(早寝早起):夜は早く寝て深まる「陰気(血や津液)」を養い、朝は早く起きて清らかな「陽気」を体内に取り込みます。
  • 収斂神気(神気を収斂す):夏のようにエナジーを外へ発散・開放させるのではなく、気持ちを静めてエネルギーを内側に蓄える「収斂(しゅうれん)」モードへ切り替えます。
  • 使肺気清(肺気を清からしむ):情緒を安定させることで、秋の主臓である「肺」の防衛バリア機能を高めます。

2. 病因の連鎖を防ぐ:「土生金(どしょうきん)」の法則

なぜ秋分からのケアに「夏〜立秋の過ごし方」が関わってくるのでしょうか。

その鍵は五行説の「土生金」にあります。

【原文】 「中央生湿、湿生土……土生金」 (『素問』陰陽応象大論篇 第五)

  • メカニズム:「土(脾胃:消化器)」は「金(肺:呼吸器・バリア機能)」を生み出す親にあたります。立秋の残暑で冷たいものを摂りすぎて「脾胃」を痛めると、親から子へ栄養がいかず、秋分以降に「肺」を滋養できなくなります。

養生を怠ると、冬になって不調が跳ね返ってくることも原文に記されています。

【原文】 「秋傷於湿、冬必咳嗽。」 (『素問』陰陽応象大論篇 第五)

秋に脾胃や肺を傷めて乾燥(燥邪)や冷えに晒されると、冬になってから強い咳や関節の痛み、冷え(冬生咳嗽)として表面化します。

3. 津液(潤い)を守る:『霊枢』が説くバリア機能

秋分以降に強まる乾燥から身を守るには、体内の水分(津液)の維持が不可欠です。

【原文】 「上焦開発、宣五穀味、薫膚、充身、蒸肉、若霧露之漑、是謂気。」 (『霊枢』決気篇 第三十)

  • 肺は乾燥を嫌う(肺喜潤悪燥):肺は全身に「霧や露」のように潤いを届け、皮膚や粘膜をバリア(薫膚・充身)しています。
  • 発散のしすぎに注意:激しい運動で大汗をかくと、大切な「津液」とともに「気(エネルギー)」まで漏れ出てしまいます。秋分以降のランニングなどは心拍数を上げすぎず、呼吸を整える「収斂の走り」が適しています。

4. 秋分から始める具体的な実践プログラム

① 食養生(補気健脾 & 潤肺)

  • 土(脾胃)を補う:かぼちゃ、芋類、おはぎ(小豆は余分な湿を抜き、脾を整える秋分の最適な養生食)。※普段から、炭水化物を多く摂りがちな方は、糖質過多になってしまうのを避けるために、炭水化物の全体摂取量を減らすなどの調整が必要です。
  • 金(肺)を潤す:大根、山芋、レンコン、白きくらげ、梨などの「白い食材」。※果物の摂取量にも注意が必要。
  • 水分補給:冷たい水ではなく、温かいお湯(50℃)で。一気飲みではなく、こまめな摂取で細胞から潤すように飲みます。食事量を十分に確保出来ない(少食、時間がない)人は、サプリメント等で消費した微量栄養素を脾胃からしっかり吸収させます。

② 運動・生活(収斂と養陰)

  • 「追い込みすぎない」意識:過度な発汗は「気血」を消耗させます。心地よいペースの有酸素運動にとどめましょう。※私はいわゆるゾーン2を意識してます。
  • 夜の養生:秋分の夜長は「早寝」を徹底し、翌日のパフォーマンスにつながる陰血を蓄えます。

③ セルフお灸ケア(ツボの活用)

  • 足三里(あしさんり):脾胃の働きを高め、「土(土台)」を強固にする。
  • 太渓(たいけい):腎の気を補い、秋冬の「陰」の蓄えをサポート。
  • 太衝(たいしょう)・陰陵泉(いんりょうせん):走った後や立ち仕事後の気血の滞り、下半身の重だるさをリセット。

まとめ:冬に向けた最強の身体づくり

秋分の日を境に、自然界は「発散」から「蓄積」へと明確にシフトします。

無理に身体を追い込むのではなく、「しっかり食べて脾胃を養い(健脾)、しっかり休んで陰を育み(養陰)、お灸で巡りを整える」こと。立秋から繋がるこの「収める養生」こそが、冬の寒さや乾燥に負けない最強の身体をつくる土台となります。

健康は有限の資源です。

現状維持ではなく、少しでも前進することが、日々生き生きと自分らしく人生を送る鍵になります。

ランナーさんにとっては追い込み可能な時期ですが、ケアも怠らず!秋も華麗に乗り切りましょう!

先日第1回解開催のマラソン大会があり、私は走らずメダルかけボランティアでした

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